2024年4月以降の診療

東海大学退官 私は、2024年3月いっぱいで、東海大学脳神経外科教授を定年退官します。東海大学での外来は3月14日(木)が最終となり、東海大学での手術は終了となります。この間、全国多くの皆様から問い合わせを頂いており、腰椎疾患でお困りの方が非常に多いということを知りました。私も、まだ手術ができる体力がありますので、2024年4月以降は、別の病院で、外来と手術を継続する予定といたしました。 今後の診療予定...

足底のしびれ:足根管症候群?腓骨神経絞扼?

足の裏のしびれでお困りのかたは意外と多いかもしれません。この投稿では、足底のしびれの原因となる病気、特に足根管症候群とその問題点、そして見逃されやすい疾患である腓骨神経絞扼について述べたいと思います。 足底のしびれと足根管症候群 足根管症候群の問題点 見逃されやすい、腓骨神経絞扼 腓骨神経絞扼の診断 腓骨神経絞扼の治療 結論 足底のしびれと足根管症候群...

脊髄空洞症の手術

はじめに この記事では、脊髄空洞症と診断されて、手術を勧められた方のために、脊髄空洞症の手術はどういうものかをできるだけわかりやすく説明してみました。 脊髄空洞症の原因には、大きく分けて、キアリ奇形に伴うものと、癒着性くも膜炎に伴うものがあります。詳しくは、この記事を参照してください。本記事では、より頻度の高い、キアリ奇形に伴う空洞症の手術について説明します。癒着性くも膜炎に伴う空洞症の手術いついては、また別の記事で説明します。また、乳幼児のキアリ奇形2型に伴う空洞症も、病態が異なりますので、この記事では扱いません。...

脊椎手術(頚椎、腰椎)の費用はいくらかかる?

頚椎や腰椎などの病気で、手術が必要だといわれたものの、費用はどのくらいかかるのだろう、とお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。この記事では、頚椎症の手術にかかる、おおよその費用と入院期間について説明します。この記事を読めば、ご自分の場合に、どのくらいの費用がかかるかがわかると思います。 高額療養費制度で、手術と入院にかかる費用の上限は決まっている...

脊椎手術のタイミング

脊椎の手術を考えているが、どのタイミングで受けるべきか迷っている、いう方も多いのではないでしょうか?この論考では、脊椎手術のタイミングについて考えてみました。ご参考になれば幸いです。 手術の適応を決める要素 手術の利益とリスクは外科医によって異なる 手術の利益とリスクは手術方によっても異なる 私の場合 手術の適応を決める要素...

超音波骨メスを使った安全な脊椎手術

超音波骨メスという器械のことを聞いたことがおありでしょうか?この道具は、私の脊椎手術には欠かすことのできない道具で、20年以上前から愛用しています。本稿では、この道具について簡単に説明してみたいと思います。 超音波骨メスとは 超音波骨メスとは、耳かきの少し大きいもののような形をした金属の道具で、先端が超音波で振動することで、骨を破砕することができる道具です。従来、骨の削除にはドリルが最もよく使用されます。しかし、超音波骨メスには、ドリルでは得ることのできない大きな利点があります。...

脊髄腫瘍の新しいアプローチ

脊髄腫瘍 私の外科医としてのキャリアの中で、多くの脊髄腫瘍の手術を経験してきました。脊髄腫瘍は、脊椎の手術の中でも最も熟練を要する手技の一つですが、脳神経外科が最も得意とする領域の一つでもあります。 腹側の腫瘍の問題点 その中で、脊髄の腹側に位置する腫瘍は、特に手術が難しいものです。脊髄の腹側の腫瘍に対して、後方からアプローチすると、腫瘍は脊髄の向こう側にあって、そのままでは見ることができません。これを露出するには、脊髄を少し押しのけなければならず、この操作で脊髄を損傷する危険があります。...

脳神経外科と脊椎手術

脳神経外科?脳外科?神経外科? 欧米の脳神経外科での脊椎手術の歴史と現状 日本での「脳神経外科」の誕生 脳神経外科での脊椎手術 脳神経外科?脳外科?神経外科? 我々の専門科は、脳神経外科ですが、一般には、「脳外科」と呼ばれることが圧倒的に多いと思います。そのためか、脳神経外科の主要な部門の一つが脊椎手術である、という点が一般に認識されていません。...

腰椎椎間孔狭窄症の診断

腰椎椎間孔狭窄症は、診断が困難なことで知られています。私も、この病気の診断には、大変苦労をし、いろいろと試行錯誤を続けてきました。今回の記事では、何故この病気の診断が難しいのか、そして、私の現在の診断方法について解説したいと思います。 腰椎椎間孔狭窄症の症状 腰椎椎間孔狭窄症の画像診断 Thin-slice MRI 神経根ブロック 症状...

脊髄空洞症の病態と私の新理論

脊髄空洞症という病気がみつかってから、すでに100年以上が経ちます。その間、この病態について、多くの仮説が建てられてきましたが、この病気の原因は、いまだもってよくわかっていません。本稿では、脊髄空洞症の病態研究の歴史と、現在残された問題点、そして、私が最近発表した病態の新理論についてお話ししたいと思います。 脊髄空洞症研究の歴史 仮説の問題点 私の新理論 脊髄空洞症研究の歴史 Gardnerの仮説...