新型コロナウィルス対策への提言

はじめに 新型コロナウィルスの感染は深刻さを増しています。外出自粛の効果で新規感染者数は減少傾向がみられるようですが、根本的な対策がとられているとは思われません。PCR検査数も思うように増やせてはいないようです。日本では、感染者数も死亡者数も低く抑えられてはいますが、首都圏の病院では医療崩壊が懸念されており、このままの対策を継続したのでは、行き詰る可能性が高いように思われます。本稿では、医療現場の視点から、現在のPCR検査の問題点、感染者接触者の追跡を中心に、今後の対策を提言したいと思います。 PCR検査...

脊髄髄内腫瘍

脊髄髄内腫瘍は、脊髄にできる腫瘍のなかでも、比較的まれなものです。代表的な腫瘍に、脊髄星細胞腫や、脊髄上衣腫があります。腫瘍は徐々に増大し、四肢の麻痺や感覚障害をきたします。MRI検査を行えば、診断自体は比較的容易です。しかし、脊髄の中にできる腫瘍なので、手術による摘出は、脊髄自体から腫瘍を剥離するという操作が必要なため、リスクが高く、脊髄手術のなかでも、もっともデリケートで難易度の高いものと言えます。 髄内腫瘍と髄外腫瘍...

頚椎椎間孔狭窄症ー頚椎症の盲点

頚椎椎間孔狭窄症とは 頚椎椎間孔狭窄症とは、通常の頚椎症とは異なり、頚椎から神経が出てくる穴(椎間孔)の部分が加齢などの原因で狭くなり、神経が圧迫される病気です。通常の頚椎症に比べて診断が難しく、放置されてしまうケースをしばしば目にします。 症状 症状は、肩や腕に放散する強い痛みやしびれで、ひどい場合には、筋力の低下を伴います。安静や鎮痛剤の服用でも症状が軽快せず、日常生活が障害される場合には、手術が必要になります。   頚椎のCTスキャン断面。矢印が、両側の椎間孔です。 診断...

腰椎の固定は本当に必要?

腰部脊柱管狭窄症に対して、多くの場合に固定術が行われています。椎体にスクリューを挿入してロッドで固定する手術です。しかし、この固定は、本当に必要なのでしょうか? ただし、神経の圧迫を侵襲の少ない方法で取り除く技術が必要です。 私の考えでは、ほとんどのケースで、固定は必要ないだろうと思われます。...