超音波骨メスを使った安全な脊椎手術

超音波骨メスという器械のことを聞いたことがおありでしょうか?この道具は、私の脊椎手術には欠かすことのできない道具で、20年以上前から愛用しています。本稿では、この道具について簡単に説明してみたいと思います。 超音波骨メスとは 超音波骨メスとは、耳かきの少し大きいもののような形をした金属の道具で、先端が超音波で振動することで、骨を破砕することができる道具です。従来、骨の削除にはドリルが最もよく使用されます。しかし、超音波骨メスには、ドリルでは得ることのできない大きな利点があります。...

脊髄腫瘍の新しいアプローチ

脊髄腫瘍 私の外科医としてのキャリアの中で、多くの脊髄腫瘍の手術を経験してきました。脊髄腫瘍は、脊椎の手術の中でも最も熟練を要する手技の一つですが、脳神経外科が最も得意とする領域の一つでもあります。 腹側の腫瘍の問題点 その中で、脊髄の腹側に位置する腫瘍は、特に手術が難しいものです。脊髄の腹側の腫瘍に対して、後方からアプローチすると、腫瘍は脊髄の向こう側にあって、そのままでは見ることができません。これを露出するには、脊髄を少し押しのけなければならず、この操作で脊髄を損傷する危険があります。...

脳神経外科と脊椎手術

脳神経外科?脳外科?神経外科? 欧米の脳神経外科での脊椎手術の歴史と現状 日本での「脳神経外科」の誕生 脳神経外科での脊椎手術 脳神経外科?脳外科?神経外科? 我々の専門科は、脳神経外科ですが、一般には、「脳外科」と呼ばれることが圧倒的に多いと思います。そのためか、脳神経外科の主要な部門の一つが脊椎手術である、という点が一般に認識されていません。...

腰椎椎間孔狭窄症の診断

腰椎椎間孔狭窄症は、診断が困難なことで知られています。私も、この病気の診断には、大変苦労をし、いろいろと試行錯誤を続けてきました。今回の記事では、何故この病気の診断が難しいのか、そして、私の現在の診断方法について解説したいと思います。 腰椎椎間孔狭窄症の症状 腰椎椎間孔狭窄症の画像診断 Thin-slice MRI 神経根ブロック 症状...

脊髄空洞症の病態と私の新理論

脊髄空洞症という病気がみつかってから、すでに100年以上が経ちます。その間、この病態について、多くの仮説が建てられてきましたが、この病気の原因は、いまだもってよくわかっていません。本稿では、脊髄空洞症の病態研究の歴史と、現在残された問題点、そして、私が最近発表した病態の新理論についてお話ししたいと思います。 脊髄空洞症研究の歴史 仮説の問題点 私の新理論 脊髄空洞症研究の歴史 Gardnerの仮説...