頚椎や腰椎などの病気で、手術が必要だといわれたものの、費用はどのくらいかかるのだろう、とお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。この記事では、頚椎症の手術にかかる、おおよその費用と入院期間について説明します。この記事を読めば、ご自分の場合に、どのくらいの費用がかかるかがわかると思います。

高額療養費制度で、手術と入院にかかる費用の上限は決まっている

まず、結論から言うと、入院・手術にかかる費用の自己負担額の上限は、医療保険に加入している人の年収に応じてあらかじめ決まっています。これを超える分については、高額療養費制度があり、公的保険(社会保険、国民健康保険、社会保険)でカバーされます。

頚椎手術を行って、1-2週間の入院となると、医療費はそれなりに高額になります。100万円を越えることが多いと思いますが、その3割負担だと、30万円ほどになります。この額は、上に述べた自己負担額の上限を越えますので、まず、ほとんどの場合に、高額療養費制度の上限程度が、自己負担の額となります。

手術費用の自己負担額上限はいくらか?

被保険者の年収によって、ひと月の自己負担額の上限は、次の表のように計算されます。

年収 ひと月の自己負担額上限
1,160万円以上 252,600円 + (医療費 –
842,000)X1%
770万円~1,160万円 167,400円+(医療費ー558,000)X1%
370万円~770万円 80,100円+(医療費ー267,000)X1%
370万円以下 57,600円

おおざっぱにいって、下記のようになります。

  • 年収1,160万以上の場合、252,600円+アルファ
  • 770万円から1,160万円の場合、167,400円+アルファ
  • 370万円から770万円の場合、80,100円+アルファ
  • 370万円以下の場合、56,600円+アルファ

プラスアルファの部分は、おおよそ5,000円から10,000円程度と思っておけばよいかと思います。ただ、実際には、これに入院中の食事代が加算されますし、個室などの差額ベッドを使用した場合は、その料金が加算されます。

以前は、70歳以上の場合に負担が軽減される制度でしたが、現在はその軽減措置はなくなっているので、年齢によって自己負担額の上限がかわることはありません。

手術の種類によって費用は変わるの?

手術の種類によって負担額がかわることはほとんどありません。固定術で、スクリューなどをたくさん使えば、医療費はとても高額になります。ですので、上記のプラスアルファの部分が少しかわってくる可能性はありますが、大きな違いにはなりません。

リハビリテーションの費用

手術前の状態がかなり悪くて、たとえば車椅子の状態だったりすると、手術後に数ヶ月リハビリをする必要がでてきます。回復期リハビリ病棟に転院した場合、保険が適応されますので、そちらにかかる費用も、一ヶ月の自己負担の上限は、上に書いたのと同じです。もちろん、差額ベッド等や食費は別計算になります。

手術前がそれほど重症でなければ、長期間のリハビリは必要ありませんので、手術後に1−2週間リハビリをすれば良いと思います。その場合、リハビリの費用は上記医療費にふくまれて、自己負担額に変わりはありません。

保険の種類によって費用は変わるの?

高額療養費制度は、すべての公的保険に共通なので、自己負担額の上限が保険の種類によって変わることはありません。

手続きの方法と費用の還付までの期間

高額療養費の手続きは、ご加入の公的保険(社会保険、国民健康保険、共済組合)組合に問い合わせてもらえば、教えてもらえると思います。

還付には、約3ヶ月を見る必要があるようです。ただし、予め手続きをしておけば、病院の窓口で自己負担分だけを支払えばいいような手続きもあるようですので、詳しくは、ご自身の加入している保険組合にお問い合わせください。

細かい部分

自己負担額の上限は、月ごとに計算されます。ですので、入院が月をまたいだ場合は、医療費が2つの月に分散されます。この場合、自己負担の額が増える可能性があります。

また、同じ保険に加入しているご家族が同じ月に医療を受けた場合、そちらを合算することができますし、年間の医療費が高額になった場合、さらに軽減される制度もあります。

詳細に関しては、厚生労働省のホームページをご参照ください。

まとめ

  • 高額療養費制度を使えば、頚椎などの脊椎手術にかかる費用は、一定の上限をこえることはありません。
  • この上限額は、どんな手術方法でも、どんな保険でも、ほぼ共通です。
  • ですので、脊椎手術にかかる費用は、健康保険に入ってさえいれば、それほど心配する必要はありません。